心臓がドクドク音を立てている。
理由は走って帰ってきたから…じゃ、ない。
陸が…、あんな真剣な目で見てきたから…。
"キスしねぇか"
え?は?てか、なになに、なんなの?
キスってなによ。
陸と私が?キス?唇と唇を合わせて幸せ、な、あのキス?
えっと…え、なんでそーなった!?
「…。」
陸くんの暴走に蜜ちゃんは一晩頭を悩ませました。
これから起きることにも気づくことなく、ただただ初めて見た陸くんの顔に動揺していました。
しかし、苦悩しているのは蜜ちゃんだけではありませんでした。
「…あーまじアイツ意味不明なんだよ!!!」
「あっれ〜、陸お前ついに蜜ちゃん襲っちゃったか。」
にやにやとドアから顔を覗かせる蓮をギロッと睨みつける陸。
「俺はなんも悪くねーよ!!」
「まぁ確かにな。今日の蜜ちゃんは特に反則だったな。」
「……!!お前、分かってて部屋に通しただろ。」
「さぁね〜。でも想像以上に陸に良い思いさせたみたいだけどな。むしろ俺は礼を請うね。」
「……。」
図星とばかりに陸は、ふいっと顔を背けた。
そんな陸に気づかれないよう、堪えきれない笑みを顔に浮かべる。
(あー、俺の弟ってなんでこんな可愛いんだろ。)
「何笑ってんだよ。」
「…笑ってないよ。」
からかいすぎると後が怖いんだよな、と蓮は早々に自分の部屋へと立ち去った。
残された陸くんは蜜ちゃん同様、一晩頭を抱えるのでした。

