よ つ の は

「…ん? 君は何を言っているんだね。さっき熊取君から話しは全て聞いたのだが…。」

想像もしなかった…
「俺が全部悪いんです。ムシャクシャしてて…、たまたま見つけたアイツに 財布を出せって恐喝したんです。そしたら拒んできたんで殴りました。申し訳ありません。」
アイツ…、俺の事 かばってくれてたんだ…。

そんな事を知らない俺は、アイツの事を『ろくでもないチンピラ』などと罵っていたなんて…

頭が真っ白になり、同時に自分の身勝手さを恥じた。


職員室を出ると、砂埃で汚れた学ランを脱ぎ バサバサとはらっている熊取がいた。

一体 何て言葉をかけたらいいのだ…。
このまま気付かぬフリをして立ち去ろうかとも考えた。
しかし、それでは余りにも道徳が無さ過ぎではないか。
そんな最低な事は さすがに出来ず、考えもまとまらないまま 熊取の元へ近づいて行った。


「―… よぉ。 なんつーか、悪かったなって言うか…
あ… ありが… 」

「そんで? 処分はま逃れたんだろ?」

俺の気持ちを察したのだろう… 礼を言おうとした俺の言葉を 断ち切るかのように、熊取は口をはさんできた。