よ つ の は

散々 悩んで店を出た俺の手には、今までの俺の趣味とは違って、白シャツに薄グレーのコットンベスト、カーキ色のカーゴパンツと 薄茶のローシューズを抱えていた…。

やっぱ人って誰かを好きになると 変わるんだなぁ… 今までなら絶対に買わないアイテムばっかりだよ。
でも、なぜだか不思議と嫌じゃないんだ…
“少しでもサクラに似合う彼氏になりたい”って、純粋に思うんだ。
せっかく手にした幸せだから… 大切にしたい


そう言えば、この前の歓迎会と あからさまに服装が違うから、さすがにサクラも気付くかなぁ…

ふっ… 何だか楽しみだなー。


周りから見たら、ちょっと浮かれすぎじゃないかと思われるかもしれない位、俺の心は 浮足立っていた。

お陰で、バンドの練習も絶好調!
まぁ、俺の変貌っぷりに周りの連中は あからさまに“コイツ何かあったな”的な疑いの眼差しだけど…


―そうして、気付けば 案外あっという間に 土曜日の放課後になっていた…
俺とサクラは、いつも通り一緒に下校していた。

「じゃあサクラ、また明日なっ!」

「ぅん! 毎日楽しみにしてたデートだもん、早く起きて 少しでも多くミヤビと一緒にいれるよーに頑張ろっと!」