よ つ の は

* 雅 side *


―『私、本当に嬉しかったんです!』―…。

その言葉が聞けただけでも、ちょっと強引だったけど 連れてきて良かったかな…

でもサクラちゃん あんなに喜んでくれて…
まだぎこちない感じだけど、また笑顔が戻ってくれて 少し安心したよ…。



―あれ?
サクラちゃん、何かやってる… 何だろう…


「ねぇ、何してんの?」

「あっ… 私、空が好きだから、こうやっていつも気に入った空の写真を撮ってるんです」

―へぇ… 携帯かぁ…。
写真って、デジカメとかで撮るってイメージしか無かったなぁ…

「そうなんだ、見せてよ!」

「―えっ?! そんな、人に見せれるようなものじゃ無いですょ…」

「えー、見てみたいなぁ」

「… じゃあちょこっとだけですょ」

そう言って渡してくれた携帯の画像を見て、俺は言葉を失った…

「こっ… これ…」

そこには、携帯のカメラで撮ったとは思えないような 芸術的で、繊細で、その中にも優しさや愛が感じられる、彼女の世界が広がっていた…

―これがサクラちゃんが見ている世界…

この子はきっと、他の誰よりも純粋で 心のきれいな子なんだ…

本当は、いますごく傷付いてるんだよな…