よ つ の は

猛ダッシュで走って来るや否や 思いきり力任せに教室のドアを開けると、スーツの袖を真っ白に汚しながら黒板に世界史のウンチクをタラタラと書き殴っている 空手黒帯の担任 佐藤でさえビビッちまう程の大声で「オマエ、ウチのバンドに入らねーか!?」…っていきなり。
クラス全員が呆気にとられてる中、興奮気味に何を言っているのか分からない言葉を俺に浴びせながら 無理矢理に軽音部の部室まで連行されたっけ。
まぁ… お陰様で、こんな学校にも俺の居場所を見つける事ができたんだけどな。
ある意味 感謝してるけど…
しかしこの強引なところだけは 何とかならないものだろうか…。


「よっし!じゃあミヤビは行くの決定な! あと一人かぁー…」

―おいおい… また勝手に決めんなって…

「じゃあさ、とりあえず放課後に部室で待ってるから。他の奴らにも聞いてみようぜ」

―はいはい…

ったく… 相変わらず強引なやつだ。 チケット代の手持ちが無いっつーの。
まぁ… 何とかするか。UKには色々と借りがあるし…。何だかんだ言って、ああやって俺の事を優先してくれるのも 正直ありがたいしね。

俺のなかで、コイツらの事は 親友とゆうより『兄弟』みたいに思ってた。