よ つ の は

家の前まで送ってくれた恭子姉は、いつまでも泣き止まない私の頭を、ポンポンッと撫でて あの優しい笑顔を見せた後、何も言わずに帰っていった。


「ただいま…― 」

「あら、おかえり。 今日ね、お母さんスーパーに買い物に行って、桜の好きなイチゴ買ってきたのよ。 さぁさぁ、手を洗って 着替えてきなさい」

母親ってすごいよ。はなれていても、自分の娘が 今日は落ち込んで帰ってくるかもって、なんとなく分かっちゃうんだろうなぁ…


手を洗い、着替えて台所に行くと、いつもなら私がわがまま言って やっと買ってくれるイチゴが…
何だか今日は、いつもより甘酸っぱいな…。


そのあとも、お母さんからは 何も聞いてきたりはしなかった。

「―… あのね お母さん…。
私… ―… 転校したいなって思って。 理由はね、 何てゆうか… えっと… 」


「いいわよ、何も言わなくても。 桜がちゃんと考えて出した答えだもの。 お母さんは反対したりしない。 頑張りなさい 桜…」

さっき、やっとの思いで止める事のできた涙は、このあとしばらくまた止める事ができなかった…。

ありがとう、お母さん。

お母さんは、私にとって 大切な世界一のお母さんだよ…。