よ つ の は

* 雅 side *


―…
「っ… ぃってぇ」

ったく… ツイてねぇな…
これじゃあ もう間に合わねぇ…

結局 最後までサクラに気持ち 伝えられなかったな…
あれだけ サクラにひどい事しておいて、今更なんとかなるんじゃないかって思ってる俺に対して、きっと神様が与えた罰なんだろうな…

たとえサクラと元に戻れなかったとしてもいい…

せめて…

せめて 今の俺の、本当の気持ちだけは サクラに伝えたかったな…


―ゲホッ ゲホッ!

ははっ… だめだ…
目の前がボヤけてきやがった…
サクラと一緒にいた頃は、あんなにたくさんの奇跡が起きてたのに…
今じゃ この有り様…
あの時のたくさんの奇跡は、きっとサクラが起こした奇跡だったんだな…
俺には元々そんな力なんて無かったんだよ…


「ぁあ… 今夜の月は 三日月か…」

いつも俺の心を癒してくれてた月でさえ、今夜は凍てつくほど冷たく感じた…

なぁ お月さんよ…
黙ってないで 何とか言ってくれよ…

張り裂けそうな 俺のこの胸の痛みを切り裂いてくれ…
誰でも構わない…
ナイフか三日月で…



俺に奇跡が起こせたらな…
何か一つだけでも… 何か…



―…!
あ… あれは!