僕らは近くの産婦人科に向かった。


逸る心を抑えて僕は彼女の手を握った。


「男の子かな?女の子かな?」


「どっちでもいいよ、元気に生まれてくるなら。」


そんな話をしていると向こうから3日前に見かけた男の子とすれ違った。


「こんにちは。」


佳菜が挨拶すると男の子は、『こんにちは』と笑顔で返した。


「あの子知ってるの?」


「ううん、知らない子。」


僕は振り返ったが男の子の姿はもう見えなかった。


「早く生まれて来ないかなー・・・。」


佳菜は嬉しそうにお腹をさする。

「佳菜!危ない!!」


-キキキキキー!-