ストロベリーフィールド

「けど、やっぱり俺の中では彩が一番だった。 その事に、葉月も気づいてた。 自分が一番になれるまで、待ってるって言ってくれたんだ。 俺、その言葉に甘えちまって、結局フラレた」


それから和希は、深呼吸をして続けた。


「俺は、今まで通り彩と笑ってたいって思ってる」


「次は彩の番だ」


深く息を吸うと、顔を上げた。

和希の瞳って、こんなに綺麗だったんだ…。

視線がぶつかりながら、呑気にそんなことを思った。


「…本当は気づいてた、和希の気持ち。 でも、二人の関係が壊れるのが怖くて、気づかないフリしてた」


「…そうか」


「気づいてたのに、和希の優しさに甘えて、傷つけた事もあったと思う。
多分…これからも、いっぱい傷つけちゃうよ」


「それでもいい。 彩が俺を、好きになんてなってくれなくていい。
だからこれを送ったんだ」


そう言って和希は、そばにあるストロベリーフィールドを指した。


「いっぱい、甘えちゃうよ?」


「それが俺の特権だからな」


「でも…」


「でもじゃねぇ。 彩が、俺と居たいかどぉか聞いてんだよ」


涙がみるみる溢れていく。


「…一緒に笑ってたい」


涙を拭いながら言う私の頭に、ポンと手を置き和希は微笑んだ。




この選択が正しかったのか、今の私にはわからない。

和希を想うなら、違った選択をするべきだったのかもしれない。


だけど、和希の存在があまりにも近くなりすぎて
離れることが出来なかった。