ストロベリーフィールド

真っ赤な蕾のような花が咲いた、鉢植え。


「あら、おかえり」


「ねぇ、ママ。 これ、どうしたの?」


「かわいいでしょ。 ストロベリーフィールドって言うのよ。 さっき和希くんが置いていったの、彩にって」


和希が…?


「たしか、永遠の恋って花言葉なのよね。 でも、咲いてるのは10月頃までじゃなかったかしら?」


永遠の恋…。

私はそっと鉢植えを部屋へ持っていった。


ストロベリーフィールドを眺めていると、不意にケイタイが鳴った。


花を眺めながら、相手も確認せずに電話に出ると
懐かしい声がした。


「久しぶりだな。 まさか出てくれるとは思わなかった」


「…うん。 …あのさ、お花ありがとう」


「あぁ」


そう言ったきり、和希は黙ってしまった。


「ストロベリーフィールドって言うんだってね」


「よくわかったな」


「ママが教えてくれた。 花言葉は、永遠の恋っていうんでしょ?」


出来るだけ明るく言った。

「なぁ、今から会えない? 話が…したいんだ」


拒否することなんて、出来なかった。

いつかはちゃんと、話さなきゃいけないと思っていたから。