ストロベリーフィールド

それからしばらく、ただ呆然としていた。


何もする気になれず、学校も休んだ。


和希は真面目に学校へ行き、帰りには私のところへ来てくれた。


来たからといって何をするでもなく、雑誌をめくったり、音楽を聴いたりしていた。


何も言わずに、ただ側にいてくれる和希の優しさが
心地よかった。




それからしばらくしたある日、いつものように家を訪れた和希の手に
小さな紙袋があった。



「…彩」


私に声をかけると、和希は袋の中から小さな箱を取りだし
テーブルへ置いた。


「なに?」


和希に聞きながら、箱をそっと開けた。


「コレ……」


箱の中には真新しいシルバーのブレスレットが入っていた。


「昨日…翔が来たんだ、家に」


とっさに顔を上げると、和希は俯いた。


「遅くなったけど、誕生日プレゼントだって…」


和希の誕生日…。
私はすっかり忘れてた。
翔の事で頭が一杯だったから。

だけどそんな事を考えるより先に、言葉が出ていた。


「翔、どこにいるの!?」


私の言葉に、和希は少し寂しそうな顔をした。


「俺にも教えてくれなかった。 ただ…コレを置いて帰っちまった」