翌朝、私の伸ばされた左腕に、何故か和希が頭を乗せ小さく丸まって眠っていた。
気持ち良さそうに眠っている和希を見ていると、イタズラしたい衝動にかられた。
鼻を詰まんでみようか、それとも頬をつねってみようかとあれこれ考えてはみたものの、いまいちピンとこない。
その時、小さな頃和希にされたイタズラを思い出した。
「よし!」
小さく呟くと、勢いよく左腕を和希の頭の下から抜いた。
「痛っ」
ゴンと重い音と同時に和希は目を覚ました。
「おはよう」
満面の笑みで言うと、和希は床にぶつけた頭をこすりながら起き上がった。
「お前なぁ、朝っぱらから――」
「人の腕を枕にして寝てるからでしょっ」
和希の言葉を遮り、枕を投げ付けた。
「彩の腕枕なんかで寝るわけねーだろ」
「さっきまで寝てたじゃん」
「わかった、わかった。そんなに俺が好きなら、抱き締めてやるよ」
「キモいー」
両手を広げ、抱き付こうとする和希をふり払った。
「朝っぱらからじゃれあってんじゃねーよ」
翔は寝ぼけた顔で目をこすりながら、体を起こした。
私はとっさに和希から離れた。
「彩が、腕枕するほど俺が好きだって言うから相手してやったんだよ」
和希は得意げに、私の肩へ腕を回した。
溜め息を付きながら和希の腕を払いのけると、立ち上がり台所へ向かうと、顔を洗った。
「朝ご飯買ってくる」
財布を持つとそのまま玄関へ向った。
「俺、鮭おにぎり!」
「俺は昆布とツナマヨ」
和希の声に導かれるように、翔も声をあげた。
「うるさいっ」
私は振り返る事もなく、外へと飛び出した。
夏らしい爽やかな青空に、両手を広げて目一杯空気を吸い込むと、昨夜の和希の言葉が蘇った。
――彩の力になれるのは、翔なんだろうな。
このたった一言に、胸が締め付けられる想いがした。
気持ち良さそうに眠っている和希を見ていると、イタズラしたい衝動にかられた。
鼻を詰まんでみようか、それとも頬をつねってみようかとあれこれ考えてはみたものの、いまいちピンとこない。
その時、小さな頃和希にされたイタズラを思い出した。
「よし!」
小さく呟くと、勢いよく左腕を和希の頭の下から抜いた。
「痛っ」
ゴンと重い音と同時に和希は目を覚ました。
「おはよう」
満面の笑みで言うと、和希は床にぶつけた頭をこすりながら起き上がった。
「お前なぁ、朝っぱらから――」
「人の腕を枕にして寝てるからでしょっ」
和希の言葉を遮り、枕を投げ付けた。
「彩の腕枕なんかで寝るわけねーだろ」
「さっきまで寝てたじゃん」
「わかった、わかった。そんなに俺が好きなら、抱き締めてやるよ」
「キモいー」
両手を広げ、抱き付こうとする和希をふり払った。
「朝っぱらからじゃれあってんじゃねーよ」
翔は寝ぼけた顔で目をこすりながら、体を起こした。
私はとっさに和希から離れた。
「彩が、腕枕するほど俺が好きだって言うから相手してやったんだよ」
和希は得意げに、私の肩へ腕を回した。
溜め息を付きながら和希の腕を払いのけると、立ち上がり台所へ向かうと、顔を洗った。
「朝ご飯買ってくる」
財布を持つとそのまま玄関へ向った。
「俺、鮭おにぎり!」
「俺は昆布とツナマヨ」
和希の声に導かれるように、翔も声をあげた。
「うるさいっ」
私は振り返る事もなく、外へと飛び出した。
夏らしい爽やかな青空に、両手を広げて目一杯空気を吸い込むと、昨夜の和希の言葉が蘇った。
――彩の力になれるのは、翔なんだろうな。
このたった一言に、胸が締め付けられる想いがした。
