ストロベリーフィールド

翔は家にあるもので食事を作り、振る舞ってくれた。

「おいしい!翔が料理出来るなんて以外だけどっ」

「毎日、コンビニ弁当ってわけにもいかないからな。それにしても、彩は飯食ってる時が一番幸せそうだな」

ご飯を頬張る私を、翔は笑った。
私はうなづき、笑顔を向けた。
その時、台所の隅に置かれた瓶に目が止まった。
私は引き寄せられるように、膝と手を床に付きハイハイのような格好で瓶に近付いた。

「……焼酎じゃん」

瓶を手に取りラベルを確認すると、翔の前へと突出した。

「一人だからって好き勝手やってんだー」

「友だちが置いてったんだよ。まぁ、俺は飲んでないって言ったら嘘になるけどな」

面白がってからかう私とは対照的に、翔は冷静だった。

「友だち…」

私の知らない翔の世界を垣間見た気がして、寂しくなった。




夕食を食べ終わると、私はベッドに横たわった。

「ねぇ、翔はどこに寝るの?」

一人暮らしの翔の家に、来客用の布団があるとは思えなかった。

「ベッド」

「私は?」

「彩もベッドで寝ればいいだろ」

翔は呆れたように笑った。

「えっ?ベッド狭いじゃん」

慌てる私をよそに、翔は嫌なら帰れば?とでも言うような顔で私を見ていた。

私は早まる鼓動に、翔は友だちだから、と言い訳をしていた。