もしここに、いつも学校で稜太を王子と呼んでいる女子がいたら、
その子は間違いなくがっかりしているだろう。
しかし羽美は、がっかりするどころか、むしろ親近感を覚えていた。
なぜなら羽美の家は、
年の離れた兄姉が1人ずつ、3歳下の弟妹の双子がいる、
大家族だったからだ。
そこで、大家族であるせいか、食べる事に必死で、
あまり裕福であるとはいえない生活を送っている自分と、
たくさんの弟妹たちと一緒に買い物をして、きっと家事全般をこなすであろう稜太が重なって見えて、
とても他人とは思えなかったのだ。
"南野くんって凄いんだなぁ"
この日から羽美は、稜太の事を、今までとは違った、
憧れや尊敬に近い目で見るようになった。
