「―――××くん……?」 どうして彼が…… 蘇るのは、あの日彼が言った言葉。 『俺、春ちゃんが好きなんだ』 その言葉がきっかけとなって、忌まわしい記憶の片鱗を頭に思い浮かべる。 ……やめよう。 私は躊躇いなくインターホンのスイッチを押した。 「どうしたの?」 すると彼はニコッと人当たりのいい笑みを浮かべ、 『久しぶり。秋から家聞いたんだ。 先に上がっててって言われて来たんだけど……』 そこまで言われて上げないわけにもいかず、私は扉を開くボタンをゆっくりと押した。