かくれんぼ

蒼がシアトルに行くことが決まった年の夏、わたしも蒼も15歳だった。
お互いがお互いを家族のように思っていて、今もこれからも側にいると信じていた。
蒼のお父さんは大学で日本に戻ってくることは許してくれていた。しかし幼いわたしたちにとって三年はあまりにも長く感じた。
だから決めたのだ、裏山の伝説の泉の前で永遠を誓おうと。

でもこの約束とわたしの誕生日は関係ない・・・？

「でも、伝説の泉にいかなきゃ」
あるのかどうかすらわからない、でも行かないと蒼を見つけられない。わたしは裏山の中心部へと進んだ。

20分ほど進むと水の音がした。
「やった」
と思い、音のする方へ駆け出した。蒼はあそこにいる。行かなきゃ。

次の一歩を踏み出すと
そこは崖だった。
やばい、そう思ったときにはわたしの身体の半分は崖の方へ向かっていた。
そのときすべてが思い出された。