【BL】最期の願い



いつもの時間になっても
翼が部屋に現われることはなかった

用事か何かがあって遅れるのかとも思ったけど
来る気配がない

ふと、
久しぶりに窓から中庭を見てみた。
翼が部屋に来てくれるようになってから見ることはなくなっていた。

「……翼と、優姫さん………」

中庭には優姫さんとなにやら楽しそうに話している翼がいた。

(な、んで…来てくれるんじゃ……なかったの?)

これ以上2人を見ていることができなくて
中庭から視線を外した。

(やっぱり、お似合いだったな)

先ほど見た光景を思い出していたらだんだんと視界が歪んできた。

「ぅっく…ふぅ……っば、さ…」


苦しい

胸が

心が

締め付けられる


昨日から何かおかしい
自分が嫌になる

こんなの初めてだ