【BL】最期の願い



「これを」

涼の母親が俺に白い封筒を渡してきた。
そこには綺麗な字で

『玉木翼様』

と書かれていた。
その字は確かに涼のもだった。

封筒を開けると、1通の手紙が入っていた。






玉木翼様


翼がこの手紙を読んでるってことは
僕はもうここにはいないんだろうな

ずっと言えなかったことがあるんだ
僕、翼の事が好きだった
違うな、今でも好き
本当はあの時すごく嬉しかった
こんな僕を好きだって言ってくれたことが
夢を見ているようだった

だけど
あの時にはもう時間が少ないとを知っていたから
あんなことしか言えなかった
翼を縛りたくはなかったんだ
死んでしまう人間がこれからがある人を縛りつけてはいけないから

だから、ごめんね
どんな理由があっても
言っていけないことだった

嫌われればいい、そう思った
でも、未練がましくこんな手紙を書くなんて
矛盾してるよな


僕の事は忘れて
誰か、好きな人を作ってください
そしてその人と幸せになってください


これが
僕の最後の願いです


鈴本涼