夜になったけど
結局、翼は来なかった
「…翼……好き」
ポツリ、と呟いたそれは誰の耳のはいるでもなく消えて行く。
考えるのは翼のこと
思い出すのは昼間のこと
好きだと自覚したら無性に会いたくなった
でも
その反面会いたくないという気持ちも生まれる
どんなに僕が好きでも
一生告げることはできない
一生通じることはない
会ってしまったら溢れて、言ってしまいそうなこの想い
迷惑はかけたくないから
言わない
言えない
昼間の2人は本当にお似合いだと思った
優姫さんは恋人はいないと言っていた
翼も、そのようなことを言っていた
苦しいよ、翼……
なんで好きになってしまったんだろう
なんで自覚してしまったんだろう
好きにならなければ
自覚なんかしなければ
こんなに苦しくなんかならなかったのに
(明日は、来てくれるよね………)
だけどやっぱり会いたくて
僕は明日こそは来てくれると信じて眠りについた。


