「衣里は楽しくないの?」



「えッ?」



哲の質問に、一瞬固まった。



…楽しいよ。楽しいけど。



楽しめない。



「衣里っていつも無表情って言うか、あんまり学校とか楽しくなさそう。あ!違うんだったらいいんだけど」



「違わないよ」



違わない。



哲はあたしの事見てくれてたんだね。



そうだよ。



あたしは学校が好きじゃない。



クラスメイトも好きじゃない。



仲良くなるのが怖いんだ。



失うのが怖いんだ。



「大丈夫?」



「えッ?」



「なんか震えてるけど」