ピュリファイ:お金がない!

「ええと、話を、首相の言ってることの、解説に戻ろうか?」


エージは、あたしの勢いに驚いて、ちょっとのけぞりながら、話を続けた。


「この首相の言ってること、莫迦だよな。



 でも、莫迦な割には、筋が通ってるみたいだろ?



 なんか、煙(けむ)にまかれちゃいそうだろ?



 死んだ親父が、建設会社で働いてたんだけど、親父がよく言ってたよ。



 役所の人と話すと、煙にまかれる、て。


 ぜんぜんこっちの話を聞いてくれなくて、役所が勝手に決めたことを押し付けられるだけ、だって。



 でも、一度でも役所と話し合ったりすると、『話は聞きました。がんばって対応させていただきました。』ていうアリバイを作られるんだって。


 
 
 首相の記者会見を見て、おれ、親父、苦労してたんだな、て、分かったよ。」



 空気の読めない首相は、まだ、続けていた。