ピュリファイ:お金がない!

男の子は、しばらく、黙っていた。

それからようやく、

ささやくように、

歌うように、

小さな声で、

消えそうな声で、

泣きそうな声で、

透明な声で、

男の子は、続けた。

「失業した・・・。
 
 って、親父、それが、それだけのことが、俺たちに言えなくて。

 おやじ、みえっぱりで。
 
 おやじ、サラ金で金借りて、給料もらった振りして、俺たちに金をわたしてた。

 で、仕事もみつからなくて、サラ金に金も返せなくって、今年の正月、自殺したよ。

 家のローンは、自殺したら、遺族は払わなくていいんだって。

 でも、サラ金とかクレジットとかは、借金が残った。

 生活費だってかかるし。

 おれ、学費払えなくて、今年、学校、中退した。

 これでも、結構いいとこの進学校に通ってて、予備校にも行ってて、東大行って、医者になろうと思ってたんだ・・・て、負け惜しみにしか、聞こえないね。」