ピュリファイ:お金がない!

「ユリさん、時計だけ盗られる、て、思わない?」

あたしは、女の子が先に帰ってから、ユリさんに聞いてみた。

「かもね」

あっさりと、ユリさんは、答えた。

「だまされるのは仕方ないわ。

 こんな時代だものね。

 だまされるのが怖かったら、何もできないわ。

 このあたり、弁護士さんに何とかできるものでもないわよ。

 持ち逃げされたら、それでおしまい。取り返せるわけ、ないわ。

 ま、一週間、待ってみましょうよ」

ユリさんは、肩をすくめた。