隣のおじさんが、帰ってきた。

「はじめまして」

おじさんは、名刺をくれた・・・肩書きは、弁護士、となっていた。

「はじめまして」

あたしたちは、頭を下げた。

「あの・・・弁護士の先生だったら、あたしたちの相談に乗っていただけますか?」

ユリさんが、おずおずと切り出した。

「もちろん」

おじさんは、にっこり笑った。

エージとユリさんは、早速、家がなくなりそうだ、ってことを相談した。

「・・・うん。なるほど。

 その、裁判所からの、『家を出て行け』ていう残酷な書類の前に、色々な書類が届いたはずだけど・・・それは見てない?」

「見てません」

「君たちのご両親が隠してたのか、悪徳業者が裁判を悪用したか、だなあ・・・」

「・・・裁判て、悪用できるんですか?」

「結構簡単だ。たちが悪いよ。

 一人暮らしのお年寄りなんか、知らないうちに身内から判決を盗られて、家を追い出されたりしている。

 ありえない話だが、あるんだよ。」

おじさんは、ため息をついた。