ピュリファイ:お金がない!

ユリさんが、苦笑した。

「エージ、何いってんだか、わかんないよ。

 あんた、頭よすぎ。」

エージは、ちょっと、気を悪くしたみたいだった。

「だからさあ。

 もしおれが、2000万円持ってるとするじゃん?

 このままだと、400万円しか戻らない。

 そうすると、残り1600万円が、国に盗られるかもしれないだろ?

 でも、政治家への寄付だったら、全額戻してもらえるんだろ?

 だから、1600万円、首相にあげたことにする。でもそれはうそで、こっそり、首相と、半分はあとで俺に返す、ていう約束をする。

 そしたら、400万円にプラスして、800万円が、合計1200万円が、おれに戻ってくる。

 これをやらないと、最初の400万円しか戻らない。」

あああ、やっと、意味が分かった。





「じゃ、うそついて、人を雇ってたことにしよう。

 お給料でも、戻ってくるんでしょ?

 で、どんどん新しいお札を受け取っちゃえばいい。

 政治家に上げるくらいなら、あたしたちで山分けしたほうがいいじゃない?」


ユリさんが、くすくす笑いながら、言った。

「トモちゃん、あたしを雇ったってことにしたら?

 あなた、お金持ちでしょ?

 あたしのお給料として、預金を下ろそうよ。

 夏のボーナスも、払ってくれれば、結構、取り戻せるんじゃない?」


 ゆりさんは、いたずらっぽく、笑った。