ピュリファイ:お金がない!

電車に乗った。

ゆりさんが、チャージ済みのパスモを持っていたので、3人分、あたしんちまでの切符を買った。

「パスモは使えるんだ」

あたしは、つぶやいた。

ゆりさんが、答えた。

「パスモとか、スイカとか、小銭みたいなもん、なのよね。

 きっと?

 国にとっては、小さな金額なんだよ。

 そんな人たちが、なにを、『国民の皆様のため』よねえ。

 あたしたちのためが何か、なんて、あんな人たちに、分かるわけないじゃない。

 あたしたちにとっちゃ、国にとって小さなものが、とっても大切なのよ。

 ・・・あ、ごめ・・・」

あたしのお父さんのことを知ってる、ゆりさんが、あやまった。

でも、ゆりさんがいってることは、ほんとだった。

「ほんとのことだもの」

あたしは、強く、うなづいた。

「そうだよなあ」

男の子は、また、力なく笑った。