ピュリファイ:お金がない!

あたしは、電話に出た。

 「えっと、トモといいます。はじめまして。」

でも、[ゆり]さんは、たぶん、携帯の着信表示で、あたしだって、わかったはずだ。

電話の向こう側からは、くすくす笑いが聞こえた。

「ぐうぜんねえ・・・。

 まさか、あたしの弟、エージが、あなたのお客様、ってことは無いわよね?」

あたしは、あたまをガツンと殴られたような気がした。

「ええと、あたしが!あたしが、お客!

 エージ君が、バイトしてるコンビニに、あたしが、コンビニのお客で。」

あたしは、おもわず、必死だった。

電話の向こうの声は、ちょっと、意地悪に聞こえた。

普段と違うみたい。

どうしたんだろ。

ううん。

そうでもない。いつも、ちょっときつい冗談、いってる。

あたしが、妙に、びくびくしてるだけだ。

ピュリファイされたと思って、でも、そうじゃない過去を、知ってる人を、怖がってる。