「着替えてくるかな。部屋に一度帰る。」


借りたスウェットをたたみながら私が言うと暁は止めた。



「ひとりはダメ。一緒に行くよ。」



私は頷いた。




エレベーターを降りて、アパートへ向かうとポストに一枚の紙が入っていた。




「うそつき」



殴り書きでそう書いてある。




「いるよね、こういう客。」



暁はそう言って紙を丸めた。
私は工藤さんがそんなお客には見えなかったのに。



「なんかちょっとこわいな。」


そう言いながらも着替えを用意する私に暁が言った。




「部屋、引き払いなよ。」