「おばあちゃんに相談しておいで」


お母さんは、父がどこまでやらかしていたかわからないので、おばあちゃんと話すべきだと私に言った。
お母さんも眠れなかったんだろうか。
はれぼったい顔で私の部屋に入ってきた。

細かい過去を知っても、身内の犯罪歴が消えるわけではない。
過去を掘り下げることなんてどうでもよかった。


冷たい濡れタオルを私のまぶたに優しく置くと、母は部屋から出て行った。


死んだ人には恨み言すら吐けやしない。
父親はもう死んでいる。
死んだ息子の過去を責められても80過ぎのおばあちゃんは何もできやしない。
涙を流して私に詫びの言葉を並べる以外、できないのだから。


具体的な話になる前に、雄一に伝えなきゃいけない。
そう思った。



着信履歴は、心配した雄一からの着信で埋まっていた。


おそるおそる通話ボタンを押す。


このまま呼び出し音のままでいい-

そう思った時






「どうしたの?」


こんな時ほど簡単に電話は繋がるものなのだ。