仕事を終えて家に帰ると母がいた。

「久しぶり・・・。」


雄一と別れてから、すっかり足が遠のいていたから心配していたんだろうか。
母は私の顔を見て、少し安心したような表情を浮かべた。


「新しい仕事始めたの?」


「そうだよ。里奈の紹介でね。飲み屋だけど。」




母は急に心配そうな顔をして私に言った。









「雄一くんがうちに来たの。」









今、自分がどんな顔をしているかわからない。



「なんで?」

母は静かに言った。




「ずっと連絡が取れないって。抱えてる仕事がやっと片付いたから休みをとって札幌に来たんだって。」


驚きで声も出なかった。


「警察を辞めて伊織と一緒になるって言ってるよ。いまの伊織の気持ちがどうかわからないけど、ちゃんと話し合いなさい。もう少ししたらここに雄一君くるから。」


それだけ言うと母は私の部屋から出て行った。


雄一が、子供のときから警察官になりたかったって知ってる。


今の仕事が好きだってことも。



そのために雄一と離れたのに。



そのとき インターホンが鳴って モニター越しに雄一がいた。