「麗菜~今夜七時ね」

麗菜の家にお泊まりした梨香が、朝出勤前の玄関先から麗菜に声をかけた。


麗菜は、バタバタと身支度をしながら返事を返す。

「えぇ~!?無理無理!それに、合コンなんて興味ないもの」

「はぁ~」

梨香が溜め息をつく。

「麗菜は、そんなんだから、いつまで経っても男ができないのよぉ~」

「いらないもの」

「いらない?………
とうとう男に興味がなくなったか……」

「違うわよ……そうじゃないけど……」

「じゃないけど?……あぁ!!ドラマみたいな出会いなんて無いわよ!じっとしてても縁は無いの!出向いて行かなきゃ!七時だよ!ルミネ前ね!わかった?じゃっ行ってきまぁす」

「ちょっちょっとー」

身支度を済ませて追い掛ける麗菜をヨソに、梨香は、玄関をバタンと出かけて行った。


「もう…一緒に行こうと思ったのに」

麗菜は、時計を見る。

「もうちょっとあるな」


麗菜は、一息腰を下ろし、湯呑みに茶を注ぐ。

そして、湯呑みを両手で包み、手を温める。


「はぁ……七時かぁ…」


麗菜は、部屋に貼ってある響 俊也のポスターを眺めながら、
静かに茶をすすった。