「はい。ここに座って持ち物を全て出してください」
 
 何が起きたのか分からないまま昔買った埃のついたボストンの中身を開けて自宅から急いで詰めたTシャツ、半ズボン、下着を出した。

 「ブラジャーはつけることができないから預かっときますね」
 
一枚一枚数を数える1人の女性。それを確認しながら紙に何か書いているもう1人の女性。服などの色や形を事細かく記しているようだ。そして最近計る事を恐れていた体重も書いていた。最近は付き合いも多く乗ることを恐れていたな・・・・

 「後ろを向いてください。そしてこれに着替えてください。靴も靴下も預かります」
 
46と書かれた便所ぞうりに履き替え、まるで人間ドックでもするようなグレーの服を預かり後ろ向きのまま立たされて待たせられる。ボストンバックのチェックが終わった女性がカチッとボールペンを置き後ろ向きのなった人間ドック服を脱がした。また1人が何かを確認するように紙に何かを書いている。

「この文字何?」
「・・・さぁ、興味本位でいれただけですよ」

 ふーんと奥歯に物が詰まった様な声をした二人は首にあるサクという凡字の刺青を見て紙に何かを書き込みだした。
 刺青。昔はかっこいいからっていつかはいれようと思った物。しかし、いざしようと決断した時にデザインが浮かばず考えた。名前、生年月日、星座・・・一生変わらない物。そんな事を考えながらある日神社へ行ったときの事。凡字というものに出会った。干支、それは一生変わらない。生まれた年の干支を調べるとサクという文字が当てはまりいつの日か首にサクが印字されていた。

「じゃ持ってきた服に着替えてください。ブラジャーはないので白の服はやめてください」
「・・・はぁ。」
「今日から私達の事は担当さんと呼んでください。そしてこちらには二つの部屋があります。貴方には右の部屋に入ってもらいます。もしかしたら左の部屋に移ってもらうかもしれませんがその時はまたお知らせします」

 決して温かくない声質でマシンガンのように説明をし始めた。頭が痛い。そうすると黒板のようなものの前に立たされると一日の予定表のようなものが書かれその説明をし始めた。掃除から始まり洗面で一日が終了している。