少し考えた後ミキにずばり聞いてみた。


「でもやっぱりロンドン行くんでしょ?」


ミキは少し微笑んだ後こう切り出した。


「私に良いアイデアがある!」


「サマーはまだアキのこと好きなはずだから、
アキは焦らずサマーの様子を見ながら付き合えば
良いんじゃない?友達として」


「・・・・・」


俺は少し腑に落ちない感じだった。


「だからロンドン行きを認めながら
付き合った方が良いよ。
下手に反対しても逆効果だから。」


たしかに俺が「愛してる」と言ってもサマーは
「それは言わないで」と言っていた。

俺と近くなりすぎて本来の自分の目的を
忘れてしまうのがイヤだったのか?

それではどうすれば良いのか?

サマーがロンドン行くまでの間だけ付き合って
「短い間だったけど良い思い出」として日本へ帰るか
それともロンドン行きよりも俺といる方を選ぶまで焦らず頑張るか?

しかしそれはサマー次第だ。

俺は俺として期待せずに「いずれ別れは来る」
と自分に言い聞かせ、もう一度付き合おうと思った。

しかし俺の気持ちはこうでも、サマーはそれも
受け入れなかったらどうしよう?

ミキが言うこととは逆で


「とりあえずしばらく会うのはやめましょう」


なんて言われたらどうしよう?

恐怖に駆られている俺にミキが


「とにかく焦らないで頑張って!」


しばらく黙って考えていた。

ソファーに座っていた俺の前でミックとミキは
またもや「愛のカタチ」を演じていたが、

その時の俺には「愛のカタチ」は目に入らず、ただ黙って考えていた。

2、3時間は経ったであろうか外から車が止まる音がした。


「サマーが帰ってきた」


俺は急に緊張し、お腹が痛くなったが、

ミキが「がんばってね!」と言って送り出してくれた。