すっかりムーミンの思い出に浸って半笑いしていた俺は
ローソクの灯火でロマンティックなはずが、
不気味な顔になっていたにちがいない。

しかし不気味な半笑いだと思っていたが、
サマーはそう思っていなかった様だ。

むしろそのニヤケタつらに好感を持ったみたいだ。

なぜかは分からない、気が付くとサマーもチラチラこっちを見ている。

周りでは相変わらずミックとロブがジョークを言って騒いでいる。

しかしサマーはそのジョークを半分聞いて半分聞いていない状態で
俺を意識しているようにチラチラとこっちを見ている。


「ということは・・・好きな子ができたら、
ムーミンを思い出せばいいじゃん!」


「ムーミンを思い出し、半笑いになった俺の
よこっつらがイカしてんのか???」


「世の中わからないもんだな・・・」


俺は気を良くし、もう一度ムーミンを思い出そうとしたが
2回連続で笑えるはずもなく、ただ顔が引きつるだけだった。

引きつるというより、どういう顔していいのか分からなくなった。

半笑いでニヒルな男を演じるつもりが顔面麻痺になった様だった。

しばらくして突然電気が付き、停電から解放された俺達は
誰からともなく写真を撮り始めた。

俺とミックとロブは肩を組みポーズ。

次にミックは自慢の背中のタトゥーに半ケツでポーズ。

それが終わるとミキを呼び、ハグしながらポーズ。

ロブとティナもハグしながらポーズ。

まだ写真を撮っていなかった俺とサマーに気づいたロブが
俺にサマーと撮ってあげるという。

俺は少し緊張したが、すんごく嬉しかった。

遠慮気味にただサマーの横に立っていた俺にロブは


「ハグ!ハグ!」


と言った!

ドキッとしたが、おもいきって肩を抱いた。


「大丈夫かなこんなにナレナレしくて・・・」


するとサマーも俺の腰に手を回してきた!


「やった!これでもう思い残す事はない!」


別に余命宣告されたわけではないがそれだけで満足だった。