俺達は気を取り直してトランプなどをした。

ミックとロブはトランプの合間に腕相撲で力くらべをしていた。


「やっぱりオージーは腕相撲とか力くらべが好きだね・・・」


ミックは顔を真っ赤にしながら真剣だ。

女性陣はトランプの手を休め「ゴーゴー」と2人の闘争心に火をつける。

どちらかが勝つと「ヒューヒュー」と言って盛り上げる。

本当に映画に出てくる光景だった。

いい意味で子供みたいな所があったり、

なんか俺達日本人が忘れかけているものを感じた。


「俺達日本人はさめすぎてるな・・・もっと熱くならなきゃいかんな!」


ミックとロブ以外の俺達はトランプに飽き、

自然とおしゃべりを始めた。

俺はサマーに話し掛けたかったが、

パイ毛の事もあり少しおしとやかにしていた。

そんな時ミキがどんどんしゃべってくれたので助かった。

しかしすっかりサマーに興味を持った俺はそうもしてられない。

なんとか俺という人間を印象ずけさせなくてはならない。


「いやっ、お前は既に印象ずけたぞ!・・・パイ毛だ!はっはっはっはっは~」


俺の中の悪魔がささやいた。

いやっ待てよ、サマーは見ていないかもしれない。

俺が腕組する時には俺の目の前ではなく1.2メートル離れていたはずだ!

しかもガラス越しだし・・・

いくら俺のパイ毛が光沢があるとはいえ、

太陽が鏡に反射するほどのパワーはないはずだ。

したがって見てない方に5百ドル賭けようじゃないか!

と自分に言い聞かせ、サイコロを投げた。


「俺さ、今ジョノズ・ブルース・バーで日曜日にバンドやってるんだ。」


サマーはいきなりナニよーと言う顔で


「なにやってるの?ギター?」


「ドラム」


「今度見に来てよ!」


「うん」