「顔近いなコイツ・・・」


しかもちょっと話した後すぐ「ハァーハァーハァーハァー」うるさい。


「クルマから出るのがよっぽど大変だったんだな・・・」


「しかし顔近いなコイツ」


と思ったと同時になにか臭った。


「うっ、なに食ったんだよ!」


「マジでなに食ったんだ?・・・なんの臭いだろう?」


と自分が職務質問されているのを忘れ、真剣に当てようとしていた。


「鼻に絡みつくこの濃厚でスパイシーな香りは一体なんなんだ??」


「おや~、この隠し味はバジルだな?」


うわの空の俺にコロコロが鼻から煙を出しながら、
頭に手をやってジェスチャーしている。

そこで俺はようやく気が付いた。


「あっメット被るの忘れてた!」

やばい!と思いながらも英語がまったく分からないフリをした。

そうすればなんとか許してもらえるかもしれない。

「What is your Name?」と聞かれても分からないフリをしたが、さすがにコロコロも
「お前それは無いだろう」という顔をしていた。

仕方が無いのでIDを出した。

するとコロコロは意外にも「OK」
と言ってニコニコしながら5メートル離れたパトカーまで脂肪をプルプル震えさせながら戻っていった。


「これって大丈夫ってこと?・・・」


ペナルティーはカンベンしてくれたみたいだ。


「しかしあのスパイシーなブツはどこに行けば食えるのかな?・・・」


英語で聞くことも出来ず、その時初めて「英語勉強するぞ!」と決心した。

そして新生活のスタートは「スパイシーな香り」で幕を開けた。