次の日の昼、ブレットの車に荷物を載せると義姉が


「これ向こうで使って。」


と、箸や少しの日本食材を包んでくれた。

新婚の家に居候させてもらった上にこんな暖かいものまでもらって逆に申し訳なく思った。


「本当にお世話になりました。」


「何かあったらすぐ電話ちょうだいね。」


「大丈夫だから・・・」


今の自分にとって知り合いは義姉夫婦しかいないが、
これからは義姉夫婦には頼らずなんとかやっていこうと思った。

ブレットのオンボロの日本車がゆっくりと発進すると俺は義姉夫婦に車内からお辞儀した。


新しい住まいに着くとスカイが飛びついてきた。

犬は飼った事がないが、わりと好きだった。
小さい時お袋に飼ってくれと、せがんだ事が何度かあったが、
お袋は絶対に許してくれなかった。

お袋も犬を見るとよく撫でたりして好きな様子だったが、
最期を見届けるのがイヤだったらしい。


「ヨロシクな!仲良くやっていこうぜ!」


荷物を部屋に置くとブレットがなにやら俺に話している


「~~~Job」


Jobが聞き取れたのできっと仕事に行くということだろう。


「Ok,Ok,Ok」


「キッチン、冷蔵庫は自由に使って良いからね!」


みたいな事を言ったあと、急ぎ気味にオンボロの日本車で去っていった。


「意外と理解できるじゃん!」


俺はなんとかなると楽観的に考えていた。

マリアは既にいないので同じく仕事だろう。


「チャリもあることだし街に繰り出すか!」