「しかし暇だ・・・」


せっかくオーストラリアへ来たのに今の俺にはなにもできない。

義姉夫婦は昼間は仕事で俺一人ここに取り残されている。

音楽に飽きて外に飛び出しても本当になにも無いのだ!

ただ家が並んでいるだけで小さい店すらないのだ。

後でわかったことだが、どうやらここら辺は新しい街らしく建設ラッシュだったのだ。

スーパーマーケットの一つもあればよかったのだが周りには新しい家ばかりだった。


「う~ん、なんとかしなくては!」


その時、ふと思い出した。


「そうだ!ツアーガイドのデイヴィッドの電話番号が何処かにあるはずだ!」


急いでバックパックや財布の中を探しまくっていると出てきた。


「よかった!」


早速電話してみると・・・

英語で何か喋っている。

留守電だった。仕方なくまた後で掛けるしかない。

夜になりまた掛けてみた。

すると今度はやっと出た。

しかし仕事から帰ってきたみたいで


「今日は忙しいから・・・」


ということだった。

こういうことが何度か続いた。

しかし人に飢えてたので何度か掛けてしまっていた。

でも答えはいつも同じだった。


「会う気ねーんだったら最初から番号教えるなよ!しかもフレンドリーな顔しやがって!」


俺は「ケアンズ流の社交辞令」という洗礼を受けてしまったのだ。


よく考えれば日本でもこういう女はたくさんいた。

その度に人間不信になった時期もあった。


「しかしダチにあいて~」


もう2,3日は恐ろしく暇な日が続いた。


「あまり好きじゃないアイツでもいいから突然俺の目の前に現れてくれねーかな・・・」


そう、心の底から願っていた。