「あっ、おばちゃんケチャップ忘れて
もらっちゃこまるなー」


「わりーねっ、あいよ」


と、1つ余分にくれた。

俺達は近くのベンチに座りパイにかぶり
つきながらフリーマーケットを見ていた。

パイを食し終り、謎の中国人の技も
見飽きたところで駅周辺を散歩した。

今日は休日ということでほとんどの
店は閉まり街自体は静かだった。

しかし店はたくさんあり生活には困る
ようなことは決してなさそうだった。

それどころか興味深い店もたくさんあった。

CDショップ、セカンドハンズショップ・・

日本食屋も思ったより多く目立っていた。

なかでも「一番星」というラーメン屋は
休日にもかかわらず営業していた。


「まいった!カリーパイ
食べなきゃよかった・・・」


「息が臭くても、もう少し周り見てからに
すればよかった・・・」


そんな事つぶやいても後の祭りである。

サマーは突然通行人に尋ねた。


「ビーチはどこですか?」


「ディス・ウェイ? サンクス!」


サマーは方向がわかった途端、
歩くスピードが速くなった。

商店街を抜け大通りを渡り住宅街に
入った途端、さらにスピードが増した。

それもそのはず、住宅街からビーチまでは
まっすぐの下り坂になっており、1、2キロ
くらい先の方に薄っすらとビーチが見えた。

イメージ的には絵葉書で見た
サンフランシスコの様だった。

確かにこの時点でテンションが
高くなる景色だ。

俺たちの後ろから続々とバスが通る。


「バス走ってんじゃないの?」