ストリップやバーの前では呼び込みの
男たちが、観光客の行く手を遮っていた。

身なりはまるで、イタリアン・マフィア
の様で、いささか近寄りがたい。

サマーとは対照的に東京で育った俺には
こんな雰囲気でも親近感が沸いた。

ここキングスクロスには故郷を
思い出させてくれる雰囲気があり、
思わずおふくろの味噌汁が
飲みたくなってしまった。

しかしシドニーにはこういう場所はここ
キングスクロスくらいだけで、
東京みたいに「リトル新宿」みたいな、
ちょっとしたエロ産業は無いみたいだ。

ましてや、子供がいる場所には。

日本人は世界でも類を見ないほどの
ドスケベな国民なので新宿に行かなくても
最寄の駅に行けばこのような店はある。

その分野においては
日本は実に便利な国である。

コンビニへ行けばそのような本は
いくらでも置いてあり、誰でも気軽に
立ち読みができる。


「でも、そんな本読むのはずかしいよ!」


という中学生でも大丈夫!

ご親切に「いかにも!」という表紙
ではなく、一見、ただのマンガの表紙
でも、中を覗けば「ジ・エロス」が
描かれたマンガも多数。

そういう本を電車の中で
取り憑かれたように見ている大人。

もちろん近くに子供がいようが関係ない。

つまり誰でも簡単に「手が届く」
ということが、この国との違いなのだ。

オーストラリアに1年近く住んで
わかってきた事は、この国には
ボーダーラインがあり、「自分で選択」
しなければその様なものに関わる事すら
なく生活ができるということだ。

東京で育っている子供たちは「自分で選択」
しなくてもコンビニや電車の中で
関わる事が容易なのだ。