今日はなんだか人が多く、
なにかイベントがあるにちがいない。

そのイベントがやっていそうな中心地へ
足を運ばせていると遠くから鼓笛隊が
音を鳴らし行進する様が見えた。

近づいていくと、6歳から12歳くらいの
少女達が黄色いユニフォームにベレー帽、
フルートを奏でながら行進していた。

その後には軍服を着た老人達が
誇らしげに歩いている。

続いてめいそう柄のバイク、
ジープが登場した。

何台か通過したジープの横には大きな紙に
文字が書いてあり、「VICTORY」
という文字がよく目に付く。

中でも特に目に留まったのは
「JAPS」という文字だ。

「JAP」は日本人の差別用語なので、
なにか他の意味だと思ってサマーに
問いかけてみると、
サマーは少し気まずそうな顔をして


「戦争が終って50年経ったみたい・・」


と言った。

どうやら戦後50周年
アニヴァーサリーみたいだ。

ということは、やはり差別用語の
「JAPS」ということなのか?

戦時中の敵国にはこのような差別用語は
当たり前のように使っていたはずだ。

今ではこんな平和なオーストラリアでも
時をさかのぼれば戦争があったんだと、
再確認させられた。


「JAPだって、
俺ここにいて大丈夫かね?」


俺は心配になりサマーの手を強く握った。

しかしサマーは「大丈夫だよ」と、
ケロッとしている。

その直後、今度は戦車が登場して来た。

戦車には3名の操縦士が顔を出している。

上空にはヘリコプターが5基、
紙吹雪を撒き散らしながら飛んでいる。

街はまるでテレビで見た
優勝パレードの様だった。