数日後、今日こそはCD巡りに行く!
と自分に言い聞かせていた。

というのも、ここ数日は俺とサマーと
ファーガス3人での行動だったので、自分
の行きたい所がなかなか行けずにいた。

ヘレンは昼間は仕事をしているので、
目下、求職中のファーガスにブリスベン
の街を案内してもらっていたのだ。

スコティッシュのファーガスは英語が
話せるとはいえ、ここブリスベンという
都会でさえ職探しは難しいみたいだ。

職探しと言っても正社員ではなく、
アルバイトでさえなかなか
見つからないと言うことらしい。

この数日間の間にもファーガスの
付き合いで、職業安定所へ何度か
行ったがファーガスはいつも良い
ニュースが聞けないでいた。

そんなファーガスの悩みを、
この時の俺は他人事のように思っていた。

が、しかし後にその問題は
俺も味わう事となる。


「俺、今日は1人で行くよ。」


今日こそはCD巡りに行く!
と決めていた俺にサマーは
「なんで?」というような顔もせず


「わかった」


と、即答した。

俺は大いなる肩透かしをくらい、
テンションは積み木崩しの
ように崩れていった。


「えー、1人で行っちゃうの?」


ぐらい聞けよ!なんて女だ!

サマーは時々、恐ろしいぐらい淡白な
時があり、周りの人間を驚かしていた。

典型的なお嬢様育ちでマイペース。

俺はいつも「女ってこんなもんかな?」
と、自分を励ましていた。

ファーガスにCDショップが沢山
ありそうなスポットで降ろしてもらい、
その日は夜7時くらいまで街をぶらついた。

久しぶりの単独行動とあって開放感があり、
自分の好きな所だけ行ける。