しかし他の人の乗り降りの為、
エレベーターが停止すると、
早くしろっ!と、イライラした。

14階15階と、だんだん近づいていく。

「あと1階か・・・」

すると「チン」といって16階で止まった。

後方にいたじいさんが
ゆっくりと出て行った。


「やっと次だ」


「チン」扉が開くと、さらに鼓動が
「ドン・ドン・ドン・ドドドドドドドド」
とだんだん速くなった。

それはまるで走り幅跳びの助走の様だった。

そして領事館らしい入り口へ入り、
受付を済ませるとしばらく待たされた。

30分したであろうか、
イライラの限界に達しようとした時、
受付の後ろから髭を蓄えた年配の
優しそうなじいさんがサマーを呼んだ。

俺も隣に座り固唾を呑んで
じいさんの答えを待った。

すると、ものの10秒もしない内に、
じいさんは笑顔で無事に取れたことを
サマーに伝えた。

俺はそのじいさんを
抱きしめてやりたかった。

というより、抱き寄せ、キッスでも
かましてやりたいくらいだった。


「これで残りのラウンドは
思いっきり楽しめるぞ!」


サマーは俺ほど緊張は
していなかったみたいだが、
実際に取得できて嬉しそうだった。

俺はテンション上がりっぱなしで、
このテンションをどこで
発散させればいいか分からなかった。


「よしっ!」


俺はサマーの手を握り、8キロ先のヘレン
の家までスキップして帰っていった。