野菜のセクションの前にはアジアンフード
のコーナーが設けられていた。

そこには中国や韓国の調味料や
インスタントラーメンなどもあった。

しばらく見ていると
見覚えあるものがあった。

それは日本人の俺には幼少時代から
親しまれた物だった。

久しぶりの再開に俺は
思わず語りかけてしまった。


「よー、出前一丁じゃねーか!」


「どうしたんだお前、
はるばるこんな所へ?」


「飛行機たいへんだったろう?
時差ボケは大丈夫だったか?」


俺は毒蝮三太夫の様に
親身に語りかけていた。


「そうか、そうか、日本が恋しいか?
よしよし俺の胸で思う存分泣け!」


俺は泣きじゃくる出前一丁を抱き寄せた。


「どうだ?少しは落ち着いたか?」


「そうか、じゃー、とりあえずコタツに
入ってミカンでもお食べ。」


迷子になった子供の様に
出前一丁は目をウルウルさせた。


「もうオーストラリアは何年になる?」


「そうか、じゃー、おじさんが日本へ
連れて帰ってやろうじゃないか?」


俺は出前一丁を我が子のように、
「いい子、いい子」
しながらレジへ向かった。

するとヘレンがレジに並んでいた。

サマーもファーガスもいる。

サマーはどこ行ってたの?
と、少々怖い顔をしていた。