俺達は街へくり出した。

しばらくすると昼間見た橋が見えてきた。

ブリスベンリバーに架かる橋は
ストーリーブリッジといい
全長777メートルもあり、歩道、
自転車道まである。

なんといっても夜にライトアップ
されたその橋は最高だった。

その橋の下を通るフェリー
からも眺めてみたい。

その橋を超えると街が見えてきた。

高層ビルが立ち並び、街のネオンが
都会という森を演出していた。

ケアンズも良かったが、
やはり俺は都会が好きだ。


「この雰囲気だ!
俺が求めていたものは!」


もちろん東京とはちがう街だ。

雰囲気も多少ちがう。

東京よりもっと小奇麗な街だ。

俺はもっとダーティーで、一見、
何を売っているのかわからない怪しい店
があるような雰囲気が好きなのだが、
優等生的なこの雰囲気の街も
好きになれそうだった。

街は大きく、店もたくさんあり、
しばらくは楽しめそうだった。

大通りを走っていると街がオリエンタル
な雰囲気に変わっていった。

不思議な気持ちでいると、なにやら
赤い鳥居らしきものが見えてきた。

前を通ると中国の鳥居だった。

そしてヘレンが


「This Is China Town」


と言った。


「チャイナタウン?
どうりで東洋人の姿が多いと思った。」


近くには映画館があり、香港映画の
ポスターが壁にベタベタ貼られていた。

その中には俺の好きな
映画のポスターもあった。

「男たちの挽歌」だ。