戻ってきたヘレンは「やれやれ」
という顔をしてサマーとの会話に戻った。

ここで俺は思った。

どの国でも女は男の趣味を
毛嫌いするのは共通のようだ。

彼らの場合もウチと同じだった。
ファーガスは車が好きだが、
ヘレンは興味ゼロ。

俺はメタルが好きだが、サマーは
興味ゼロどころか変態あつかい。

男と女、趣味が違うのは
当然という事なのだろうか?

その後、なんとか「ボッボッボッボ~」と、
エンストせず愛の舘へたどり着いた
「ボボ・ブラジル号」。

ボボ・ブラジル号を駐車場へ止めると
白い排気ガスを撒き散らし、
俺達は手で口を被った。

が、しかし俺は排気ガスが盛んな
東京で育っている為、
これがなかなかどうしてオツな香りだった。

そしてふるさとを思い出し、涙するのだった。

彼らが住んでいるのは日本で言えば
マンションもしくはアパート?

いやいや見るからに「コーポ」と
呼ぶべきではないか。

早速、彼らの「ハイツ」に
荷物を運び部屋を見渡した。

リビングには古びたテレビにソファーが
あるぐらいで、
なにがどうこうって訳ではなかった。

テレビの上にはファーガスの趣味の
レーシング・カーのミニチュアが
所狭しと並んでいた。

それを見ていた俺にファーガスは俺が
レーシング・カーに興味があると
思ったらしく話し掛けてきたが、
俺はレーシング・カーの知識は全くない。

「日本人のレーサーすごいね!」

と言われてもピンとこない。

あまりにしつこかったので苦し紛れに俺は

「このマンションいいねー」

と言うとファーガスは

「Hell No!」

と言って笑っていた。