その夜、メキシカンが食いたーて、
食いたーてしょうがなかったが、
実現できずパムお婆さんお手製の
ガーリックチキンを頂いた。

先ほどイヤというほど嗅いだ香りに
近かったせいか、おかわりしてしまった。

翌朝、パムお婆さんとは家の前で別れ、
ウェンディーにバスターミナル
へ送ってもらった。

ウェンディーは仕事があるというので
バスが来る前に俺達に別れを告げた。

バスが来るまでまだ時間があったので
すぐ近くの店で食事をすることにした。


「次はいよいよブリスベンか・・・」


俺はやっと自分たちだけになれたことと、
次の目的地を楽しみにしていたことで
気分が良かった。


「ハービーベイにしたよ・・・」


サマーは「あれっ、言ってなかったっけ?」
というような言い方だった。


「ブリスベンじゃないの?」


俺は予想外の答えに
ふて腐れるように言った。


「なんなのハービーベイって?
どういうとこ?おもしろいの?
ロックハンプトンみたいじゃないよな?」

俺の投げやりな言い方に
サマーは少しかん高い声で


「ブリスベンまで
12時間掛かるんだよ!」


「・・・・・」


「あっ、そうなの・・・」


俺は申し訳なさそうに答えた。

12時間じゃしょうがない、
サマーもそのことを踏まえて
ハービーベイにしたのではないか。

すこし焦った自分がバカみたいだった。

気分を害したサマーに気分を変えて
もらおうと話題を変えようと思ったが、
話題が見つからず普通の質問をした。