到底ゴスペルしか似合わない
ビターちゃんの顔から


「お・ば・ちゃん・・ま・だ・か・な~♪」


と、裏声で少女が待ちわびる様に歌う。


「ふ~る~さ~と~よ~♪」


と、ゴスペルではなく
ダークダックス風に歌い上げる。

そんな夢みたいな想像している時だった。

ドッキリを見ていたビターちゃんが突然
爆笑しながらニワトリのマネをしだした。

テレビの画面に目をやるとニワトリの
かっこをした男がドッキリを
仕掛けているみたいだった。

最初から見ていなかったので、
どういうドッキリか分からないが、
ビターちゃんはその男が面白かったらしく
その男のマネをし始めた。

指先を脇に入れニワトリの羽を作り
首を前後に機敏に動かしながら


「コーコッコッコッコ、コケッ!」


と、泣きながら脇をパタパタさせた。

「う~んこのビターな香り、
忘れた頃にきやがったな!」

もう数分でロックハンプトンに
着くことはわかっていた俺は
少し余裕のある気分でいた。

息を止め、
着いたら外にダッシュすればいい。


「ヘッヘッヘッヘーもう時間の問題だ!
そんな攻撃へでもねー」


案の定、街が見えてきた。

俺は息を止めながらバスのフロントグラス
から見える夜の街を眺めて
気を紛らわせていた。


「さぁ、これでビターちゃんとも
お別れだ!」


「お前を忘れるために、しばらくは
アメリカンコーヒーはお預けだ!」


「おっといけねー、正露丸なんぞ
もってのほかだ!
ビオフェルミンに変えさせてもらうぜ!」