早速バスの席を取るため電話した。


「イエス、トゥーロックハンプトン」


サマーが電話越しに言った。


「ロックハンプトン?
そんなとこ行くんだっけ?」


「わたしのシンセキいるの。」


「へーそうなんだ。」


それは初耳だった。

しかしそれをどうして
もっと早く話さないのか?

サマーは普段あまり自分から話しをする
タイプではないが大人しいわけではない。

大人しいわけではないというのは2人きり
になると子供みたいにジャレてくる。

くすぐってきたり、ゲップをして
その息を俺に吹きかけたり・・・

ここでその「イチャイチャ」もしくは
「ニャンニャン」を語ることは
あえて避けさせてもらおう。

なぜならそれは他人の家の
「ホームビデオ」を見せられている様な
気分にさせてしまうからだ。

とにかくサマーはただ単にジャレては
くるが、プライベートな
事はあまり話さない。

その時の俺はまだ若かったので
サマーについてこれた。

まだ気の利いたジョークを言って
くれれば良いのだが、笑わせようと
すればするほど俺の頬がひきつる。

以前サマーの会社の
パーティーがあった時のこと。

サマーは一人の仕事仲間を呼止めた。


「面白い話があるから聞いて!」


その男は優しそうにニコニコしていた。

サマーが話し始めるとその男は所々で
「ハッハッハ」と声を出しジェントルマン
らしく社交辞令をこなしたが明らかに
表情はひきつっていた。

笑顔にはなるがすぐに表情がマジメになる。