バスの中ではBGMが流れており、
乗客が寝ようが寝まいが
お構いなしにヴォリュームを上げている。

乗客の中にはその音楽にあわせてハミング
するものや口笛を吹くもの、
デカイ声で歌っちゃう者までいる。

もちろん他の乗客が寝ようが寝まいが・・

サマーにとってもその雰囲気のお陰で次第に
別れの余韻から開放されたようだった。

俺たちはとりあえず
タウンズビルまで行く事にした。

タウンズビルまでは5時間くらいなので、
途中食事や休憩をしても
夕方には着くだろう。


「泊まる所予約してないけど大丈夫なの?」


「インフォメーションセンターに
行けば見つかるよ。」


さすがオージー!

旅行者の多い国だけあって
インフラもしっかりしてる。

俺はしばらくウォークマンを
聞きながら外を眺めていた。

街から街までは永遠、畑や山ばかりで
東京とはまるで違った。

しばらくすると畑の奥の方から
煙がモクモクとし、
炎が燃え上がっているのが見えた。

しかも1キロくらい横に
燃え上がっているではないか。


「おいっ見てみな!火事だぜ!」


俺はうとうとしていたサマーを
叩き起こしエキサイトしていた。

サマーはふて腐れた感じに


「あ゛~シュガーケインでしょ」


と言ってまた目を閉じた。

「なにそれ?」と聞きたかったが
不機嫌そうなのでやめた。

あとで聞いてみたがシュガーケインとは
サトウキビのことで炎が燃えていたのは
収穫前に火を付けるということだった。

なんとも大胆なオージーらしい収穫方法だ。